エターナル・フロンティア~前編~

 その容器を綺麗に舐め終えるとリオルは顔を上げ、ゲップを吐き出す。更に口の周りの油を舐め取り、腹がいっぱいになったことで満足そうな表情を浮かべている。その姿にソラはリオルの身体を撫で、リオルの命が失われなかったことにホッとする。また、ユアンに礼を言った。

「珍しいな」

「感謝はしています」

「なら、約束を守って貰う」

「……わかっています」

 どのような約束であっても、一度交わしたもの。相手が嫌いな対象であっても、破っていいものではない。それにユアンが部下に命令を出さなければ、リオルの命が失われていた。

 一応、感謝はしている。

 だから、受け入れた。

 物分りがいいソラにユアンは口許を緩めると、リオルの餌を持って来た人物に部屋から出て行くように命令する。

 ユアンの神妙な面持ちに男は何かを感じ取ったのか、軽く頭を垂らし部屋から逃げるように出て行く。部屋の中に響く、扉が閉まる音。その音を確認すると、ユアンが口を開いた。

「精神感応って知っているか?」

「……はい」

「なら、話が早い」

「対象は、誰ですか?」

「義父だ」

 その名前に、ソラは不安感を覚える。この人物は、ユアンの手によって殺害されたと聞いている。その人物の何を知りたいというのか。いや、その前に死人相手に精神感応など聞いたことはない。

 普通、これを行なうのは生きている人間。しかしユアンは義父相手に、それを行なえと言う。

「まさか、生きているのですか?」

「肉体は失われているが」

「貴方がやったのですね」

「いけないか?」

 別に、いけないとは言っているわけではない。ユアンの性格を考えると、これが当たり前と思える。それにしても、ユアンは義父から何を知りたいというのか。生きているというのなら、直接聞き出せばいい。その疑問に対しユアンは肩を竦めると、義父は厄介な相手だと教える。
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