エターナル・フロンティア~前編~

 過去、数多くのプロジェクトに参加していたユアンの義父。その全てのプロジェクトがどのような内容だったかは残された資料で把握しているが、肝心の部分が消去されていたという。

 それを知りたい。

 だから、ソラの力を利用する。

 ふと、ユアンの表情が歪んだ。憎らしいという感情を前面に出し、ジェイク・マッカーディを銃殺してしまった。それも脳味噌を撃ち抜いて――実に惜しいことをしたと、後悔する。

 脳味噌が無事だったら義父のように機械で生かし、彼が持っている知識と技術を搾り取れば良かった。

 感情のままに動くと、必ず失敗する。あの件はいい教訓となり、ユアンの知識のひとつとなった。

 しかし今回の「精神感応」の力に、問題があった。ソラは相手を殺傷させる能力に長けているが、精神感応の能力は苦手としていた。また練習という練習も行なったことはないので、失敗の可能性も高い。

 相手の精神に己の精神をリンクさせ、屈服させる。簡単に説明すればこのようなものだが、それを実際に行なうと危険が付き纏う。無理矢理精神を支配するのだから、最悪相手の精神を破壊してしまう。

 それに精神感応は、ソラは不得意としている。加減できず、廃人どころか殺してしまうかもしれない。

 だが、ユアンはそれでいいと言う。

 二人の親子関係は、所詮このようなもの。

 ユアンは、義父を嫌っている。だから「義父を殺してしまってもいい」と、冷たい言葉を発する。

 非情とも取れる言葉だが、ソラはユアンの気持ちを理解できた。彼もまた、母親を嫌っていた。

 もし、父親が側にいなかったら。

 ソラは力を使用し、母親を殺していただろう。有り得たもうひとつの現実に、心の中で毒付く。

「さて、行くか」

「……はい」

「その子犬も連れて行っていい」

 そのように言う以前に、リオルはソラから離れようとはしない。別に、一緒に連れて行っても問題はない。彼はソラが約束を守り、義父から重要な情報を聞き出してくれればそれでよかった。ソラは腕に刺さっている点滴の針を抜くと、リオルを抱きつつベッドから下りた。
< 562 / 580 >

この作品をシェア

pagetop