エターナル・フロンティア~前編~
ソラの変化に、彼が抱き締めているリオルが「どうしたの?」と尋ねるかのように、切なく鳴く。その鳴き声にソラは現実に引き戻されたのか、自身がやっていたことに気付いた。
「大丈夫」とリオルに言い聞かせるが、この言葉は自分自身に向けられた言葉でもあった。
今、何をしないといけない。
約束を守る。
そう再度自分に言い聞かせると、荒い呼吸を整えていく。しかし、リダードの記憶の中から見た光景は、正直いいものではない。あの時ユアンが止めに入っていなければ、本当に殺していた。
ソラは頭を振り、先程の光景を振り払う。意識を集中するにあたって、先程の光景は邪魔になってしまう。それに約束を守らないといけないので、リダードを殺害するわけにはいかない。
抱き締めていたリオルを足下に置くと、この場所から動いてはいけないと命令する。ソラの言葉が伝わったのかリオンは可愛らしく頷き返すと、ソラの脚の近くでちょこんっと座った。
物分りがよく頭がいい飼い犬にソラは口許を緩めると、再度リダードの精神とリンクを試みる。
一回目と違い、二回目の精神感応はやり易かった。一度、誤って精神を攻撃してしまいそのダメージが回復していないのだろう、あっけなく精神感応できたことに拍子抜けするが、下手に抗われるよりいい。
「過去を知りたい」
上手く精神のリンクがなされていることを確認すると、ユアンはソラに義父の過去を探るように命令する。
精神面を操り無理矢理言葉を引き出すというやり方も存在するが、精神感応が不慣れなソラが上手くできると思っていないので、ユアンはソラに義父の記憶を探らせる方法を選んだ。
勿論、この方法にも危険が伴う。間違って先程の光景を見てしまったら、再び力が暴走する。
それでも確実に情報を欲するユアンは、危険が伴っても此方を選ぶ。それに、義父の命はどうでもよかった。
「……二十年前」
ユアンの言葉に従い、リダードの記憶を探っていく。二十年前といってもその時代の光景を知らないソラは、簡単にその時代の記憶を探ることができない。訝しげな表情を作るソラに、ユアンは更に情報を与える。「義父は当時、あるプロジェクトに関わっていた」それが、ユアンの情報だ。