エターナル・フロンティア~前編~

 ソラは更に意識を集中させていくと、リダードの記憶の深い部分を探っていった。彼等が行おうとしているプロジェクトに「能力を持つ者」が関係していることはわかるが、彼等が語る会話には独特の専門用語が交じり合い、専門外のソラが全て理解できるものではない。

 精神感応を得意としている者は、自分が探っている記憶を他人の脳裏に投影できる技術を持っているのだが、生憎精神感応を不得意としているソラはその技術を持ち合わせていないので、自力で何とかしないといけない。

 プロジェクトの中心となっているのは、レナ・コーネリアス。年齢と立場、それに知識を総合して彼女が中心にいるのだろう。レナを補佐する形でいるのが、ユアンの義父とソラの父親。

 父親は、優しい人物だった。

 その優しい父親が――

 動揺していては精神感応が乱れてしまうとわかっていたが、父親の本当の職業が判明した時から不安が付き纏う。

 暫く、交わされる会話を聞き続ける。

 ふと、ひとつの単語が耳に止まった。彼等が行なおうとしているプロジェクト。その名前は「プロジェクト・レーラズ」というもの。反射的にソラは、プロジェクト名を呟く。するとその名前に聞き覚えがあったのか、ユアンが過敏に反応を示し口許が徐々に緩んでいく。

「そうだ、その名前だ……」

 ユアンが一番知りたかったのが、この名前のプロジェクト。義父が残した資料でこの名前を知り、どのようなプロジェクトだったのか知りたかったが、大半が廃棄されており詳しくはわからなかった。

 大半の資料を破棄しなければいけないほどのプロジェクト。この時点でユアンの興味を惹き、何が何でもプロジェクトの概要を知りたかった。それが今、明らかになろうとしている。

 ユアンの気分は高揚してくるが、ソラを焦らすことはしない。流石、能力関係の研究を行なっている者。焦りは禁物ということは知っており、ソラが次の情報を提供してくれることを静かに待った。

 プロジェクトの名前は判明したが、問題はその内容である。ソラにしてみれば父親が関わっていることなので、できるものなら残酷で悲劇的なプロジェクトではないことを願ってしまう。

 暫くプロジェクトに参加している者達の会話を聞いていると、急に仲違いをはじめる。何か問題が生じたのか、参加者が発する言葉は荒々しい。何故、このようにいい争いがはじまるのか――これからわかることは、ソラが想像している以上のものが行なわれるということだ。
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