エターナル・フロンティア~前編~
当初、ソラの精神感応で義父から情報を得ようとしていたが、細かい部分を知りたいと思うユアンは自らの言葉で義父に問い質すことにした。それに関してソラは、特に反論することはしない。
それどころか、ユアンが聞き出してくれることが有難かった。正直、精神感応は、使用は疲れて仕方ない。
ソラは冷たい壁に凭れ掛かりユアンの姿を眺めていると、腕の中にいるリオルが可愛らしい声で鳴く。どうやらソラに抱き締められていることが嬉しいのか、尻尾を振り擦り寄ってくる。
この空間に漂っている独特の雰囲気に気付いていないのか、のほほんっとしているリオルは微笑ましい。
リオルの身体を数回優しく撫でると、ユアンと彼の義父の会話を聞き入る。彼等の会話の中にも独特の専門用語が混じるので意味不明な部分があったが、全部理解できないわけではなかった。
何故、このプロジェクトを立ち上げたのか。
「大方、くだらない理由」というのがユアンの考えだが、義父リダードが発した言葉は彼の意見が正しいと教える。
実に、くだらない内容。
要は、彼等の失敗を取り戻す為だ。
『我々は、強い力を持つ者を欲した。しかし次々と彼等は死に絶え、残ったのは少年が一人……』
「それが、ヨシュアという少年ですか」
『何故、その名を……』
「資料を見ました」
彼の言葉にリダードは、沈黙してしまう。リダードが資料を残していたのは「勿体無い」という個人的な感情から。しかしユアンがその資料を見ていたと知ったら、肉体を失う前に処分していた。
それだけあの資料をユアンに渡るのは危険すぎた。だが、どのように足掻いたところで肉体を失っているので、ユアンの行動を止めることはできない。
『そのヨシュアは今、存在しない』
「殺しましたか」
『勝手に死んだ』
「それは言い訳です」
彼等が好き勝手に振舞った結果が、ヨシュアという少年を殺してしまった。それだというのにリダードは「勝手に死んだ」と言い、自分達の非を認めようとはしない。義父の意見にユアンはやれやれという形で肩を竦めると、このプロジェクトにヨシュアが関わっていることを見抜く。