エターナル・フロンティア~前編~
そもそも、何故ヨシュアを基にソラを生み出したのか――理由は簡単。彼は、類稀なる力の持ち主だった。
しかし度重なる研究と実験の結果、ヨシュアは死亡してしまった。彼の死は多くの科学者(カイトス)に絶望を与え、発展するはずの研究が停止してしまうと恐れた。だから、ヨシュアの復活を図った。
安直ともいえる理由だが、彼等の行動はわからなくもない。最高の物を求めるのは人間の性であり、それだけの科学力を有していた。だから実行に移し、ソラという人物を誕生させた。
何故、周囲がソラを特別扱いするのか――
プロジェクトの概要を聞いた今、彼等の行動の説明がつく。ソラは数多くの失敗を経て誕生した、ヨシュアの生まれ変わり。いや、正しくはヨシュアそのものであるので、クローンと呼んでいい。
その為、ヨシュアの二の舞を踏んではいけないと大事に扱ったというが、ユアンは「違う」と、訂正する。
本当に大事に扱っているというのなら、檻の中に閉じ込めてしまえばいい。それでも心配というのなら、外へ飛び出す翼を手折ってしまえばいい。だが、彼等の扱いは散々なものだった。
「ヨシュアという少年は、どういう人物だったのですか? やはり、彼と同じなのですか?」
『外見は、彼と一緒だ』
「髪の色が違いますが?」
『薬の投与の影響で、色素が抜けた結果だ。もとの色は黒――ヨシュアと同じだ。勿論、瞳も』
「なるほど」
『性格の方は違う。あの者の教育の賜物か』
リダードが発した「あの者」という言葉に、真実に打ちのめされていたソラが反応を示す。彼はカラカラに乾いた口を開くと、リダードに「あの者」が自分の父親なのか尋ねていた。
『そうだ』
「父は何故、別の道を――」
『親心という奴だ』
当初「ヨシュアのクローンを造り出す」という目的で、自身の妻の母体を利用した。そもそもソラの母親は以前から不妊治療を行なっており、何ら疑問を持たれずに彼女の母体を利用するのは可能だった。
その後、不妊治療という名前のクローン造りは成功し、確実に胎児は成長していく。だが、プロジェクトは途中で思わぬ誤算を生み出す。それが、リダードが言う「親心」だった。