エターナル・フロンティア~前編~

 不妊治療を装った実験がばれないように、ソラの父親――アレクは、良き夫を演じ妻を支えていく。それにより順調に子供は成長していき、今回の計画は成功すると思われていた。

 しかし途中で、アレクの心境に変化が生じてくる。彼は妻の体内で成長しているのは、ヨシュアという少年を基にしている別の子供。そのように自身に言い聞かせ成長を見守っていたが、途中で妻の体内にいる子供が本当の我が子ではないかと錯覚を覚えはじめたのだ。

 と同時に、激しい後悔の念に駆られる。

 何をしているのか。

 自分はどうしたいのか。

 結果、アレクは仲間を裏切った。

『これにより、計画が大幅に狂ってしまった。あろうことか、あいつは自分の妻を連れて我々の前から逃げた』

 あの時の光景を思い出したのか、リダードは激しく憤慨する。もしリダードに肉体が存在していたら顔を真っ赤にしていただろう、それほど同僚アレクの行動が許せなかったのだ。

 その後の行動は、ソラが一番知っている。父親は自身が暮していた惑星(ほし)に戻り、妻と産まれてきた子供――ソラと共に暮した。最初は幸せな家庭を築いていたが、突如不幸が訪れる。ソラが、力を持って誕生したからだ。いや、誕生以前から腹の子供が力を持っていることは、アレクはわかっていた。

 そもそも産まれた子供はヨシュアを基としているので、力を持って産まれるのは想定済みだった。

 しかしアレンはそれを知っていても、彼の妻はそれを知らない。結果、息子の力に恐怖し、徐々に精神を病んでいった。

 そして、悲劇が起こった。

 母親は息子の殺害を謀り、夫が妻を止める。殺害は未遂に済んだが、狂った母親は自宅に火をつけ死亡した。

 起こってしまった悲劇は、残された者達を苦しめていく。生まれ育った土地にいられなくなったアレクはソラを連れ、同僚達がいる惑星に戻って来た。だが何故、同僚がいる場所へ戻って来たのか――幼い頃、父親の行動に疑問を覚えたが、よくよく考えれば近場にいる方が見付かり難いことが多い。

 それにアレクはソラに、不自由のない生活をしてほしかった。だから人が多く集まる場所に戻り、新しい職に就き金を稼いだ。そして息子二人で楽しく暮し、幸せを満喫する。

 今思えば、父親と二人で暮していた時がソラにとって一番幸せだった。それに幼馴染のイリアとも出会い、この生活が永遠に続くと考えていた。だが、何処へ行こうとも不幸はソラを襲う。
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