エターナル・フロンティア~前編~
クリスの電話の相手が女性でないとわかった瞬間彼等の興味が失せたのか、それぞれが個々の仕事に戻っていく。
同僚に気付かれず誤魔化せたことはクリスにとっては幸いだったが、一度自虐ネタを言うと長く尾を引く。普段は仕事で寂しさを乗り越えているが「恋人」という単語が、胸を抉る。
気分を落ち着かせる形でタバコを吸おうとするが、仕事場全体が禁煙となっているので専用スペースに行かないといけない。世界的に禁煙がブームになっている昨今、愛煙家にとっては住み難い世の中だ。
専用のスペースに行くとズボンのポケットからタバコを取り出すと、火をつけひと時の休憩を楽しむ。仕事で行き詰ったり仕事が一段落した後の一服はクリスにとって幸福の時間だが、現在の心の中は複雑そのもので、タツキと約束した「手助け」を本当に実行できるか。
この「手助け」の最大のネックは、ユアンという存在。特にソラの側にはユアンが付き纏い、地位で負けているクリスが好き勝手に口を挟める状況ではない。また、ユアンのソラに対しての執着ぶりは有名で、下手に口出しをした場合彼からの反撃を受け倒れてしまう。
タツキが望んでいるのは外での出来事ではなく、研究所にいてその身を弄くられている時。
だからといって、最初から諦めては物事を進めることはできない。クリスは低い地位にいるが、その地位でもできることは必ず存在する。一本目のタバコを吸い終えると、二本目を取り出し吸い出す。その間思考を巡らせ、自分だからこそ出来る手助けを考えていった。

