エターナル・フロンティア~前編~
その時はソラの機転によって大事に至ることはなかったが、結果的に近隣の村に迷惑を掛けてしまった。そのようなことが影響し、それ以降ソラに付いて来てほしいと頼んでも首を縦に振らなくなった。
研究の為ではなく、旅行に行くと言っていたらソラは首を縦に振ってくれただろうか。後で理由を聞けば証拠隠滅ということで、友人に口止めを行なった。それにより作りたくない相手に大きい貸しを作ってしまい、後々支払いに苦労したという話をイリアは思い出す。
(そんなこともあったわね……)
忘れることのできない苦い思い出に、イリアは苦笑する。同時に、ある重要なことを思い出す。だが、あれはそれほど重要とは思えない内容であったが、頼みごとしてきた人物が厄介といっていい。別に聞いてやる義理も理由もないのだが、後々二人に何を言われるかわからない。
いつも二人が中心になって合コンを開いているので、男関係には不自由していないと思われる。それだというのにこれ以上ネットワークを広げようとしているのだから、ある意味逞しいと言えた。この調子だと有名どころの職業を全て制覇するのではないかと、本気で思えてくる。
このような状況下にあっても科学者を目指しているのだから、精神面は相当タフである。それに合コンでいい男性を捜すというのなら、真面目に勉強をし就職するのがいい。そして勤め先で好みの男性を見付ければいいと思ってしまうが、彼女達に言わせれば「今が大事」らしい。
しかし今が大事ということで、合コンを行うとは――イリアは、言葉を失ってしまう。やはり、人生を甘く見ている。その中にソラやその関係者が含まれると思うと、腹立たしい気持ちになってしまう。
(そう……何故、私が……)
このまま相手をすることなく、そのまま何事もなかったかのように卒業してしまった方がいいが、イリアは思っていることと行動が一致しない。時として周囲に流され、自分を見失う。結果的に彼女達にいいように利用され続け、幼馴染まで巻き込んでしまう状況にあった。
その時、彼女が仕事を行っている部屋の扉が音を鳴らし開いた。同時に、濃い茶色の髪と黒い双眸が目を引く三十歳に近い男が入室する。男の登場に一同は一斉に挨拶を行うが、イリアだけが男の存在に気付いておらす、暗い表情を浮かべながらディスプレーを眺めていた。
いつもとは違い、暗く不機嫌な表情を浮かべているイリアの態度に不信感を感じ取った――ユアン・ラドックは、周囲に目もくれず真っ直ぐ彼女の側へ向かう。そして、ここぞとばかりの満面の笑みを浮かべると、イリアにどうして暗い表情を浮かべているのか尋ねた。