エターナル・フロンティア~前編~

 それに完全に縁を切ってしまえば、しつこく言い寄られなくなる。それにソラへの頼みごとも叶えなくてよくなるのだが、彼女達の性格面を考えると不安要素の方が大きい。「敵に回すと厄介な相手」と、言われている二人。だから縁を切った後の仕返しを、イリアは恐れる。

「やはり、何かあったようだね」

「そ、そんなことはありません」

「聞かないようにと言ったけど、そんな顔をされると心配になる。僕が悪いことをしたように思えてね」

「本当に、大丈夫です」

「それならいい。もし困ったことがあったら、相談に乗る。何より、溜めているのは身体に悪い」

 その言葉に、イリアの表情が緩む。彼女にとって、尊敬している人物に「相談に乗る」と言われただけでも、嬉しかったか。流石、若い身分で高い地位にいるだけあって、クラスメイトより信頼できる。

 しかし、急に話題を変えられてしまったことに、相談のタイミングを完全に失ってしまう。そしてユアンが何気なく発した内容というのは、イリアを驚かせるのに十分な効果があった。

「これは噂程度に聞いた話だけど、君には幼馴染みがいるそうだね。それは、本当のところかな」

(まさか、あの二人人が……)

 イリアはユアンから視線を外すと、心の中で怒る。友人達が話し好きだということは知っていたが、まさか一日で此処まで広がるとは――いや、一日ということはあり得ない。そう考えると、かなり前から「イリアに幼馴染がいる」と、言い触らしたことになるだろう。

 もしかしたらイリアがソラのことを話さずとも、最初から調べはついていた可能性が高い。それにハッキングの技術を持っているとしたら、可能性には無きにしも非ず。シャトルでの会話は誘導尋問で、自分達が得た情報が正しいのか詮索していたと考えると、実に腹立たしい。

「本当なのか?」

「本当です。でも、私達は幼馴染の関係で……それに……別に、特別な関係というわけではありません。いい友人と申しますか、時々相談に乗ってもらっています。彼は、頭がいいですので」

 ユアンの前で怒っている表情を見せるわけにはいかないと、ぎこちない笑顔を作る。すると懸命に否定をしているイリアの姿にユアンは、声を上げて笑う。だが、イリアは笑われて恥かしいという感情はなかった。はじめて見た素敵な笑顔に、逆に安心感を抱いたからだ。
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