エターナル・フロンティア~前編~

「寝ていたの?」

「時間が掛かると思ったから」

「その考えは正解。だから、寝ていてくれて良かったわ。それはそうと、マロンはまた持ってきたようね。転寝をしている人間がいると、そうやって毛布を持ってくるの。利口でしょ?」

「そうなんだ。タツキが躾たのかと、思っていたよ。マロンって頭がいいし、学習能力があるよ」

「そうね。好きなことは、勝手に覚えてしまうわ。何処で覚えるかは、わからないけど。ところで、何か飲む?」

 しかし、ソラはタツキの誘いを断る。それなら自分用にと、タツキはキッチンに向かうと紅茶を淹れる。それを横目で眺めていたマロンは、ソラの膝の上で再び巨大な毛玉と化す。

 そんなマロンの背中を優しく撫ででつつ、ソラはタツキの後姿に向かい話しはじめた。それは切なく悲しい物語であったが、タツキは表情を変えない。ただ、飲み物の用意を進めるだけ。

「こんな話をするのは何だけど、タツキに関してのいい噂は聞かない。皆、同じことを言う」

「あいつ等の言いそうなことね。別に、気にしていないけど。何とでも言えって感じかしら。好きなだけ言って、自らは手を出してこない。臆病なのよ。何かを行ったら自分が捕まると思っているらしく、常に怯えているし。今日は、そんなことを言いに来たわけじゃないでしょ?
 何か問題が起こったというのなら、相談に乗るわ。それとも、別のことかしら。どちらでもいいわ。アタシは、アナタの将来が心配なの。身体のことも……それ以外のことも。ねえ、ソラ君」

 それだけを伝えると、ティーパックを探しながらソラからの返事を待つ。しかし躊躇っているのかソラからの返事はなかったが、タツキはそれを待ち続ける。無理に聞き出して、いい答えではない。タツキは彼の心の中を理解しているつもりであるので、強制は逆効果だ。

 すると、ソラは重い口を開いた。

 そして、消えそうな声音で話を開始する。

「検査を受けろと、言われている」

「その時、どうするの?」

「オレが拒絶反応を示しても、彼等は強制的に行うだろう。抵抗したところで、無駄な努力になってしまう。それに、最近の動向だって……いいものじゃない。オレ以外の奴等の動向を見ていると、恐ろしさの方が強い。血の通った生き物と見てくれることは、全くない」
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