エターナル・フロンティア~前編~
「嫉妬心が含まれていたら、どうする?」
「……馬鹿げている」
「ええ、馬鹿げているわ。人間という生き物は自分が持っていないモノに対して、異常なまでの嫉妬心を抱くものよ。だから、ソラ君が持つ力も……だけど、好き勝手に行っていい理由はないわ」
「そうだけど……」
そのような理由で、能力者を実験対象として看做していいものではない。彼等だって生きているので、それを否定する権利など誰も持っていない。しかし周囲の者は、恰も持っているように主張する。
このような背景があるからこそ、この世界は能力者とって生き難い。そもそも、彼等が安心して暮らせる場所があるというのか。残念ながら、今のところは存在しない。いや、存在を認めない。一般の人間は彼等の排除を願っているので、彼等に安住の地は提供されない。
「その力が自分では得られないとわかった時、人間は恐ろしいものよ。その存在に対し、牙を剥く」
「それが、この現状」
「残念ながら、そうなるわ」
「なら、この力は何の為に存在するのか」
そもそもこのような力が存在しなければ、このような悲劇は起こらなかっただろう。だが、存在するのだから何らかの意味合いがあってもいいものだ。だが、明確な答えを求めようともその手段がわからず、そもそも必要がないので。その理由を解明してしまったら能力者を虐待する理由がなくなってしまい、彼等にとってのストレス発散の手段が失われてしまう。
元能力の研究をしていたタツキなら何かわかるだろうと期待しても、首を横に振るだけ。勿論、タツキでもわからないが、いつかは証明したいという。そうしなければ、能力者は不憫すぎる。
「御免なさい。力不足で」
「いいよ、本当に悪いのは……」
ふと、其処で言葉を止めてしまう。その先に続く言葉は、人によって答えが異なるからだ。能力者に言わせれば「一般人が悪い」そのような答えになるだろうが、力を持たない人間は「能力者が悪い」と、言うに違いない。結局、両者の言い分がぶつかるだけで終わってしまう。
そして、そこから新たなる火種が生まれてしまう。タツキのように中立の立場に立てる人間など珍しく、お互いのことを知っているからこそ立てる立場といっていい。しかしそのような人物は数少なく、あの血生臭くて悲惨な現状が表面に表れることは決して有り得ない。