エターナル・フロンティア~前編~

「鈍いな~。幼馴染との関係を言っているのだよ。仲良くやっているのだろ? どうなんだ」

「そのことか。別に、普通だけど」

「いや、俺が聞きたいのはそのようなことじゃない。付き合っているのかどうか、それを知りたい。だから、お前を呼んだ。で、どうなんだ? 付き合っているのなら、隠さずに教えてほしい」

「はあ? 何だよ」

「迎えに行くということは、仲がいいという証拠だ。お前の性格を考えると、素直に行くということはおかしい。車を借りに来たということを考えると、そのような結論になるんだよ」

 カディオの質問に、ソラの身体が完全に硬直してしまう。そして見る見るうちに頬が赤く染まり、しどろもどろになってしまう。今まで、イリアを恋愛対象としては見ていなかった。いくつになっても“幼馴染であり友人関係”というものがあり、それ以外は考えられない。

 だが、カディオにこのように質問されると、どのように思っているのか考えてしまう。確かにイリアが可愛い部分が存在するが、思ったら突っ走るタイプといっていい。それに向こうもソラを恋愛対象と見ているか怪しく、一部の噂では彼女は好きな人物がいるという。

「イリアは、幼馴染みだよ。恋愛対象ではない」

「だが、見ていると恋人同士に思える。おっと、怒るな。友達以上恋人未満ということでいいだろ?」

「あまり変わらない気が……」

「なら、お前の好きなタイプを教えてほしいものだ。恋愛に興味がないお前だ。情報として価値がある」

「タイプね……敢えて上げるとしたら、大人しい子かな。家事全般が上手いなら、更にいいけど」

 顔を真っ赤に染め、ソラは好みのタイプを語っていく。恋に奥手と言われているソラから聞き出した回答に、カディオはニヤニヤと笑い出す。彼にしてみれば恋は先手必勝で、ゆっくりと構えているのは嫌いであった。それに性格を考えれば、何かを仕出かすに違いない。

「いいことを聞いたぞ。お前って、平凡な女性が好みなんだな。早速、イリアちゃんに報告だ」

「何故、此処でイリアの名前が出てくる。それにカディオ、ひとつだけ言っておくことがある。どのようなことがあろうとも、オレはイリアと付き合うことはできない。付き合っては、いけないんだ。それにそのような関係になったら、イリアに重荷を背負わしてしまう」
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