不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
* * *
おぼろげな意識のむこうで、流行りの歌が聞こえてきた。
あ……この曲好き……なんて考えながら重い瞼を開ける。
いつの間にか眠っていたみたい。
レースのカーテン越しに感じる日差しの角度が、もう夕暮れが近いことを物語っていた。
気だるい体を無理やり起こす。
私の目を覚ました曲は、卓巳君のスマホの着信音だったようだ。
しばらく鳴り続けていたそれは、やがてプツンと途絶えた。
「卓巳君……電話鳴ってたよ?」
横でまだ眠っている卓巳君に声をかけた。
だけど、卓巳君は相当深く眠っているようで、私の声には全く反応しない。