不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
そっと触れるだけのキス。

私からした最初で最後のキス。


「萌香ちゃん……?」


私らしくない行動を不思議に感じたのか、卓巳君は少し戸惑うような表情をした。


「じゃね」


彼に背を向け、バタバタと急ぎ足で玄関に向かう。もうこれ以上ここにいたら、泣いちゃうから。


「卓巳君、さよなら」


最後はちょっとだけ声が震えた。

卓巳君に気づかれませんように。そう祈りながら、ドアを開けた。


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