不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
向かった先は、バスルーム。

壁一面が鏡になっている大きな洗面台の上にそっと下ろされた。

大理石の感触に腿の裏側がヒヤリとする。


鏡を背にして洗面台に腰掛けた状態の私。

卓巳君はその鏡に手をつくと、ほんの少し腰をかがめた。

ふたりの目線はちょうど同じぐらい。

私の顔をじっとのぞきこみ、卓巳君はまたあの低音ボイスで言う。


「オレのせいなんでしょ? じゃ、責任取って温めてやる」


言われた瞬間には、もう唇が重なっていた。


「んっ……」


唇の角度を変えるたびに、ふたりの吐息が口から漏れる。

いったん唇を離すと、彼は洗面台の横にあるドアノブに手をかけた。


「萌香ちゃん、ちょっと待ってて」


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