不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
お店の人が私達に声をかける。

「はい。オレですけど?」

「お電話がはいってます。受付まで来ていただけますか?」

このお店、地下にあるせいか電波状況が悪いみたい。だからスマホじゃなくて、わざわざお店まで、誰かが連絡を入れたのかな。


「萌香ちゃん、話の途中でごめんね。また後で話そう……」


そう言うと、優一君は席を立って私から離れてしまった。

ひとり残された私は、手にしていたワインを口にする。


「……卓巳は?」


ふいに卓巳君の名前が聞こえ、思わずむせそうになる。

どうやら少し離れた位置にいる男の子達が彼のことを話してるみたい。

グラスを持つ手が震える。

聞いちゃダメだって頭は命令するのに、私の耳はそこに全神経を集中させて話の内容を拾おうとする。


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