不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「萌香ちゃんて、オレのタイプなんだよねぇ」


彼は顔を近づけると、両手を壁について、私を囲んでしまった。

なんとか懸命に彼から逃れようとするものの、それ以上うしろに下がることはできない。

彼の手が私の髪に触れた。


「ねぇ。この色、地毛? 柔らかいね……」


私の髪をひとつかみ手にとって、指に絡ませる。

髪の1本1本に神経が通ってるんじゃないかって錯覚するぐらい、そこから全身に信号が送られる。

悪寒が走って、背筋がぞくりとする。


「やだ、やめてよぉ……」


触れそうなぐらいに近づく彼の体や口から、鼻につくほどのお酒の臭いがする。

さっきは気づかなかったけど、よく見れば顔も首もまっ赤だ。

一体どれぐらいお酒を飲んだんだろう。


< 184 / 277 >

この作品をシェア

pagetop