不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
その場から動きたくなくて、懸命に足を踏ん張る。

誰でもよかったんじゃない。

以前、沙耶から言われた言葉が頭に浮かぶ。


『萌香はさ……気づいてなかったのかもしれないけど、最初から好きだったんだよ、卓巳君のこと』


沙耶の言った通り。

卓巳君だから、ついていったの。

他の人じゃダメ……。

卓巳君じゃなきゃ嫌だよ。


頭ではそう思っているのに、すでに抵抗する力は残っていなかった。

いくら踏ん張ろうとしても、もう足に力が入らない。

ズルズルと彼に引き寄せられる。

それをOKのサインととられたのだろうか。

一瞬ニヤリと口もとをゆるめると、彼は私の腕を掴んだまま、歩き始めた。


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