不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「クリスマスだからなぁ。部屋空いてっかなぁ」


私の様子なんてまるで気にすることもなく、はしゃいでいる。

目の前が霞む。

街を彩るイルミネーションの光がにじんで交じり合う。


「卓巳君……」


消え入りそうな声で呟いた瞬間、涙がこぼれた。

愛しい彼の名前を口にしただけで、胸が締めつけられそうになる。

もう会うこともないのに。


「あ~、部屋なかったらぁ、オレんち来る?」


その瞬間、鼻をくすぐる甘い香りがしたと思ったら、背後から誰かに抱きしめられていた。


「ダメ。これ、オレの」


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