不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「だあああああああ! もう!」


前方から聞こえる卓巳君の声に、思わずビクッと体が震えた。

そのタイミングで優一君が私の肩からパッと手を離す。


ステージに視線を向けた私の目には信じられない光景が映った。

卓巳君は側に置いてあった小道具のバラの花を手に取ると、さも当たり前という感じでステージを降りてしまった。

当然、まだ劇は進行中だ。

共演者も観客も、私を含め、ここにいる全員が動き出すこともできず、ただ呆然と卓巳君の行動を見守っている。

ただひとり、優一君だけはお腹を抱えてゲラゲラ笑ってるけど。


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