不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
* * *
「萌香ちゃん! おまたせ」
ろう下で卓巳君の着替えを待っていると、やがて彼が現れた。
「髪、まだ金色なんだね」
「ああ。これはうちに帰ってから落とすよ」
「そっか。じゃ、もう帰ろうか」
そう言った瞬間、彼の腕の中にすっぽりと包み込まれてしまった。
「やべ、帰したくない」
「卓巳君……」
「萌香ちゃん、今日、泊まり、無理?」
ずるい。そんな甘えるような声で囁かれたら、答えなんてひとつしかないよ。
卓巳君の胸からそっと顔をあげた。
心臓がキュンと音をたてて、涙腺が緩む。
「私も帰りたくない」