不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
あ……ダメだ。泣きそうになってきた。

目の縁にじわりと涙が溜まって、今にもこぼれそうになったその時……。


「隙ありっ」


――パシャン。


「きゃっ」


いつの間にか近づいていた卓巳君が、手で水鉄砲を作って、私の顔にお湯をかけてきた。


「もぉ、いきなりひどい……」


顔についた水滴を手で拭う。


「ぼーっとしてるほうが悪いんだろ。萌香ちゃんて体育の成績悪そう」


卓巳君は悪びれる様子もなく、楽しそうに笑ってる。ほんと、この人ってマイペースだ。

それにしても、なによ、バカにして。たしかに私はどんくさいけどさぁ。


「ほらまた、隙だらけ」


――チュ。


触れるだけの軽いキス。その音がバスルームに響く。


「萌香ちゃんてさ。すっぴんでもあんまり変わんないでしょ?」


「えっ……?」


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