不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
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その後、家に戻った私は、夕方になって、家族のために晩御飯の用意をしていた。
卓巳君、大丈夫かな?
お腹すかせてないかな。
調理をしながらも、彼のことばかり頭に浮かんでしまう。
「ねぇちゃん、飯まだぁ?」
その言葉にハッとする。
慌ててグツグツいってるお鍋の火を止めた。
「うわっ。また煮物かよー? オレ、ハンバーグとか唐揚げとかさ、肉が食いたいんだけど」
不満げな声をあげながらお鍋を覗くのは、弟の敦(あつし)。
「もぉ、文句言わないの! 根菜は繊維も多いし栄養あるんだよ。こういうのちゃんと食べてたら、風邪ひかないんだからっ」
「ねぇちゃんて、言うことがいちいちオバサンくせーんだよなぁ……」
「オバサン?」
私は手にしていたお玉を振りかざした。
「マジおっかねぇし。そんなんだから男できねーんだよ。知ってる? 男はこういう料理は喜ばねーの!」
「うるさいっ。ほらっ、手動かす!」
「ハーイ。すみませーん」
敦はブツブツ言いながらも、食器棚を開けて、食卓の準備を手伝ってくれた。