不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
お母さんが交通事故で突然この世を去ったのは4年前。

7つ年下の敦は、当時まだ小学3年生だった。

今じゃすっかり声変わりして、背もそろそろ抜かれちゃいそうだけど、今でも変わらずかわいい弟。

4年前、私は、姉であると同時に、敦のお母さんにならなきゃ……って、棺の中のお母さんの顔を見て誓ったの。

もちろん、まだまだお母さんには程遠いけど。

それでもお母さんが作ってくれた煮物の味を敦に少しでも味わってほしくて、私は毎日お母さんの味を思い出しながら料理してるんだ。


「まぁ、でもねぇちゃんの料理はうめーよな、たしかに」


フォローのつもりか、敦の手が横から出てきて蓮根が盗まれた。

もぐもぐと頬張る敦の姿を見ていると、また卓巳君のことが頭をよぎった。

卓巳君、今夜も大学で泊り込みなんだよね。

晩御飯はやっぱりカップ麺なのかな……。

そう思った瞬間、もうじっとなんてしていられなかった。


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