不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「あ……そだ。萌香ちゃん、映画好き?」


大学の廊下をふたり並んで歩きながら、優一君が言う。


「え? うん」

「じゃ、これあげる」


優一くんはジーンズのうしろポケットをゴソゴソと探ると、私の目の前にハガキのようなものを差し出した。


「映画の試写会なんだけどさ。次の土曜、オレ急に用事入っちゃってさ」


そして、ツツツと私のほうに近づき耳打ちする。


「卓巳、誘ってみなよ」

「えっ」


きっと耳までまっ赤になってる。

そんな私の顔を見ながら、優一君は「萌香ちゃんて、わかりやすいっつーか、顔に出るタイプだよね」って笑う。

明らかにからかわれてるよね。

でも、試写会かぁ……。
これなら誘いやすいかも。


「チケットもらったんだ。一緒に行かない?」

なんて、友達でもこれぐらい誘ってもおかしくないよね。

やったぁ、デートの口実できちゃった。


「ありがとう」


優一君から受け取った試写券をコートのポケットにしまった。


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