不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
ウソばっかり。

さっきまで女の子に囲まれてあんなに楽しそうだったじゃない。

私のことなんてこれっぽっちも考えてないクセに。

ああ、やだ。
これってヤキモチ?

そんな気持ちを打ち消したくて、「はぁ……」と小さくため息をついた。


「とりあえず、コート脱げば?」

「うん……」


コートを脱ごうとして、ポケットの中に入っているものに気づく。

あ、そうだ。
映画の試写会。


「卓巳君っ。あのっ……」


意識しすぎて声がうわずる。


「今度の土曜日、あ、空いてる? さっき優一君から映画の試写券もらったんだ。よかったら一緒に……ど……かな?」


言いながら、ますます緊張してきて、最後はうまく言葉にならなかった。

できるだけ自然に言わなきゃいけないのに。

これじゃガチガチなのがバレちゃう。


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