不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
ああ……。私って単純。

いつ叶うかわからない口約束ひとつだけで元気になっちゃうなんて。

卓巳君にとったら単なる社交辞令で、その場しのぎの言葉だったのかもしれないけど。

それでもこんな小さな約束だけで、しばらくはずっと幸せな気分が味わえそうだよ。

そのとき、ふいに卓巳君の視線を感じた。

優しい眼差しで私の目をジッと覗きこむ。


ああ……キスされるんだ。

彼がキスをしようとする時はいつもなんとなくわかる。

ほんの少し顔を傾けて、切なげな目で私を見るの。

卓巳君の目が好き。

色素の薄い茶色の瞳に私の影が映る。

彼の香りに包まれて、私はそっと目を閉じる。

唇が触れた瞬間、背筋に甘い刺激が走る。


「冷た……。外、寒かったんだな」


すぐに離れてしまった唇が名残惜しくて、私は目を開けた。

目、うるうるかも。


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