蜜は甘いとは限らない。【完】
「やっと来ましたね、舞弥さん」
「...止めてくれる、気持ちが悪いから」
あたしの非日常。
それは、いつもこうしてあたしのことを会社まで迎えに来る男のせいで始まる。
「気持ちが悪いなんて、ひどいなぁ」
「思ってないでしょ?」
「思ってますよ?」
酷く曖昧なこの男は、とてつもなく、
綺麗だ。
きめ細やかな白い肌に、癖のないストレートの髪。
髪は黒に対して目は真っ青と言っていいほどの蒼。
アーモンドの形をした目は日本人離れした顔に合っていて...
「もういい加減、あたしを開放してよ」
「そうですね、とりあえず車に乗って下さい」
話はそれからです。
いや、まずあたしの話を聞け。