蜜は甘いとは限らない。【完】
今日、パンツにしてよかった。
どんなに動いても邪魔にならないからね。
スっと一歩足を後ろに下げたたあたしは、山中の頭に向かってその足を振り上げる。
「…それでは、当たりませんよ」
だけど、そんなあたしの足は当たらなくて、簡単に片手で受け止められる。
それだけだと、思ってた?
「っら、」
「っつ」
掴まれた片足はそのままに、両手を地面に着けて逆立ちのようにしてもう片方の足を山中の横腹にぶつける。
その勢いで離れた足を戻し、ニヤ、と口元を歪めて山中を見れば、細い目を見開いた。
「まだまだ、現役のつもりなのよね。あたし」
「…流石です。お嬢様、」
ですが。
見開いたかと思えば、今度はいつものように余裕そうな笑みを浮かべた山中に眉を顰める。
なんで笑うの?
分からなくて首を傾げれば、山中が片手を上げて左右に振った。