蜜は甘いとは限らない。【完】



嵐川さんの目線の先にはそのお店のオーナーらしい人。


その人の後ろには大きなプロジェクター。
映っているのは売上を記録したグラフ。


資料にあった通り、近年更に売上は落ちている。




「さ、最近新作を作ったんです!!
アンケートを取ったり、流行りのものを入れたりと…!!」

「それで、売上は確実に伸びるのか?」

「ま、まだ売上の記録は出てません。ですが!」

「なら、そこまでだ」

「え?」

「それでは売上は出ない。
以上だ」

「そんな、待ってください!!」




冷たい態度、視線。

周りから降り注ぐ冷たいものに怯えながらも自分の意見をしっかりと伝えたこの人に、嵐川さんはなんの慈悲も与えずに切り落とした。


分かりやすく伝えれば、クビ。ということ。



意味が分からない。

これは開発会議じゃなかったの?


嵐川さんに掴みかかってチャンスをねだっていた人は、この会社に雇われている警備員につまみ出された。




「それじゃあ、今からは私の跡継ぎの話をしたい」

「は?」




え、なんて?

あたしの、聞き間違い?




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