蜜は甘いとは限らない。【完】







あたしと同じように分からないといった顔をするおじ様が聞いた。


だって、分からない。



「そうだ。
今からするのは跡継ぎの婚約者の話だ」

「白神様とだと、聞いたのですが?」

「私は、白神のところより上の者と婚約して会社を今よりデカくしたいと思っている」

「白神様のところよりですか?!」



ガタガタっと驚きで数人が席を立つ。

それほどまでも、絢梧のところは嵐川よりも大きな会社なのだろうか。



「当たり前だ。
嵐川の名がこんなところで留まっているわけがないだろう?

だから私は私の娘を跡取りにするのでなく、息子の葵を跡取りにして寺島さんのところの娘と婚約させたいと考えている」

「?!なっ、何言って……!!」




“ 1言も話さないようにしてください ”




「なんだ?
口出しをするな、舞弥」

「っ、」



なんで、こんな時に山中の言葉が……!!




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