蜜は甘いとは限らない。【完】
「黙れません!
あたしが跡を継ぐと言いました、葵は…!!」
「言っただろう?
役に立たなければ葵を跡取りにすると」
だけどやっぱり黙れなかったあたしは真横に立って、あたしの方を見ようとしない嵐川さんに掴みかかる。
だって、理解できない。
分かったと頷いてくれたはず。
「どうせお前は名前だけを残すつもりだっただろう?」
「、」
「そんなヤツより、葵に任せたほうがいい。
それに白神のところのはまだ学生だ」
「葵だって学生でしょ?!」
ふざけないでよ。
あたしが今ここに居る理由はなに?!
なんのためにあたしは葵の代わりとしてここに立っているの?!
「貴方が、あたしが跡を継ぐのであれば葵に跡を継がせないと言ったからここに居るのに…!!
なんの意味もないじゃない!
ふざけないで!」
「口を慎め、舞弥。
今は会議中だ」
「そんなこと関係ないわ!」
「ならば泣いて土下座でもするか?」
「…は?」
なにを、言って…。
自信有りげにそう言った嵐川さんに目を見開く。
「そうすれば、跡継ぎを舞弥にして白神のところと婚約。
しなければ、分かってるな?」
「…分かり、ました」
屈辱的。
だけど、しなければあたしが居る意味はない。
周りからの目線を気にもせずにあたしは地面に膝を付く。
…本当の、この言葉の理由も知らないあたしは頭を膝に付ける。