蜜は甘いとは限らない。【完】
「…へぇ?俺より?
姉貴あれだけ俺に説教してきたのに?」
「そ、それは経験上での話で、説教したのはやり過ぎたからで……」
「ふーん?」
「……葵様、そんなに偉そうに出来るほど貴方は偉いことをしていないでしょう」
「チッ」
…ふ、ふぅ、危なかった。
冷や汗をかいたおでこを拭う。
残念なことに、動き出して暫くたつこの車は未だにあの家に着かない。
「それで?
ヤンチャってどんなことしてたの」
「……大体喧嘩。
族潰しとか、結構してたかな」
「なんだ、それだけ?」
「小さい組とかも、潰していましたね、確か」
「山中!!!」
「おっと、失礼」
なんかキャラ違うよ、山中!!
そして言わないでよ!!
「え、まさか姉貴1人で?」
「あ、ううん。
あれ、前にあたしの会社に居た奴と。
希のこと覚えてる?」
「あぁ、あの男と。
人間って見ただけじゃ分かんないね」
それ、どんな風に見えてたのかは分かんないけど、多分失礼よ。
あー、でも、懐かしい。
あの頃に髪を切って、暴れまわってたんだよねあたし。