演劇部の記憶
「先輩は大学は?」
「うん。本当は今日からだけど、体調が悪くて……」
「じゃあ、明日一緒に大学に行きましょう。僕も先輩の大学に行って全国大学演劇祭みたいし」
「あれ? それは先週じゃないの?」
弘は一瞬、顔を引きつらせたが、すぐに平静を取りもどしたようで、いつもの感じで答えた。
「主催者の都合で一週間の延期になったはずです……」
「ああ、そうなんだ」
わたしは、平静を保って答えたが、声は微妙に上ずっていた。いちおうわたしも演劇部に籍はあるはずである。それなのに、一年で一番大事なイベントの日程の変更の連絡も来なかった。部活に行かないわたしが悪いといえばそれまでだったが、もう演劇部に居場所はないのか。そう思うとわたしはさびしくなった。そう思ってわたしはベッドに横になった。
「じゃあ、僕も今日はここに寝かせてくださいね」
弘はそう言って部屋の電気を消した。そして、わたしはベッドの中で理由はよくわからなかったが、涙がこぼれていた。
しかし、弘は暗い部屋の中でまだ寝ていなかった。化粧もしていないわたしの顔を見て、テーブルの上をごそごそとし始めた。
「先輩……、先輩」
わたしは、弘に体を揺すられて起きた。
「どうしてまだ読んでいなかったんですか」
弘はそう言って先月持ってきた封筒を示した。
「忙しくて……」わたしはそう言った。
「じゃあ今読んでください」
「今は寝よう……」ぼそぼそとわたしはそう言った。
「今読んでください」
弘はさっきより強くそう言った。わたしは、仕方なく封筒の封を切った。
「うん。本当は今日からだけど、体調が悪くて……」
「じゃあ、明日一緒に大学に行きましょう。僕も先輩の大学に行って全国大学演劇祭みたいし」
「あれ? それは先週じゃないの?」
弘は一瞬、顔を引きつらせたが、すぐに平静を取りもどしたようで、いつもの感じで答えた。
「主催者の都合で一週間の延期になったはずです……」
「ああ、そうなんだ」
わたしは、平静を保って答えたが、声は微妙に上ずっていた。いちおうわたしも演劇部に籍はあるはずである。それなのに、一年で一番大事なイベントの日程の変更の連絡も来なかった。部活に行かないわたしが悪いといえばそれまでだったが、もう演劇部に居場所はないのか。そう思うとわたしはさびしくなった。そう思ってわたしはベッドに横になった。
「じゃあ、僕も今日はここに寝かせてくださいね」
弘はそう言って部屋の電気を消した。そして、わたしはベッドの中で理由はよくわからなかったが、涙がこぼれていた。
しかし、弘は暗い部屋の中でまだ寝ていなかった。化粧もしていないわたしの顔を見て、テーブルの上をごそごそとし始めた。
「先輩……、先輩」
わたしは、弘に体を揺すられて起きた。
「どうしてまだ読んでいなかったんですか」
弘はそう言って先月持ってきた封筒を示した。
「忙しくて……」わたしはそう言った。
「じゃあ今読んでください」
「今は寝よう……」ぼそぼそとわたしはそう言った。
「今読んでください」
弘はさっきより強くそう言った。わたしは、仕方なく封筒の封を切った。