イジワル上司に恋をして
「あいつ。なんか言ってたか?」
……は……はぁ?!
そりゃ確かに、なにを話してたのかって気になるでしょうけど! まず先にひとことなんかあるでしょ?!
「あの! わたしは思い切り巻き込まれたんですけど!」
「……だから?」
「『だから』って……! 普通、ひとこと謝るとか、なにか説明するとかするでしょう!」
思わず立ち上がって、黒川と向き合うと口が動いてた。
今回は、わたしが全面的に正当だ。だから、目を逸らしたりなんかしないし、むしろコイツを追い詰める千載一遇のチャンスだと思えば、逃がしてたまるかって思う。
すると、黒川は正面から視線をわたしから外すことなく言った。
「もう終わったことだ」
「もう関係ない」とか「もう終わったこと」とか。
アンタはそうかもしれないけど、こっちは吉原さんに「よろしく」って言われちゃってんのよ!!
あまりに勝手な言い方に、さすがのわたしも堪忍袋の緒が切れて――。
「アンタがそうでも、こっちは現在進行形なのっ。人に迷惑掛けといて、なんの説明責任も果たさないってなんなの?! なにも知らされないままなんて、巻き込まれ損よっ」
息継ぎもする間もなく、気付けば全部思ったことを口に出していた。
軽く肩で息をして、見上げた先の黒川の表情は……一瞬驚いた顔を見せた。
「黒川くーん……あれ? どうかしたの?」