イジワル上司に恋をして

「お待たせしました、山矢(やまや)様。控室の準備が整いましたので、そちらでゆっくり……」
「あの、仲江さん。少しだけ、待っていていただけませんか?」
「え?」
「5分……いえ、3分でいいので! お客様も、少しお待ちいただけますか?」


トレーを脇に抱え、懇願するような目で香耶さんと女性に訴える。
すると、女性が初めよりも断然柔らかい笑顔で答えた。


「淹れていただいたミルクもまだありますので……飲み終わるまで、ここに居ても……?」
「あ! はい。全然構いませんけど……」


香耶さんの答えに、「ありがとうございます」と返答した女性を見届けたあと、急いで給湯場へと戻る。

ホントについさっき。会話の途中で閃いたことだから、上手くいくかはわかんない。
でも、想像の中ではそこそこ大丈夫な結果になる気がして、わたしは手早くひとつの茶葉とタグ付きのメッシュバッグを取り出した。

葉っぱを好みの量に入れられるメッシュバッグ。
それにオレンジピールの茶葉を3分の1程度入れてタグを切って。念のため二重にするようにもう一度メッシュバッグに入れる。外側のタグの紐で、プチギフトみたいな形になるように縛って……あとは……。

小走りでショップのレジにある赤いリボンを数十センチ切り、また戻る。
そのリボンを紐の上から蝶結びにすれば、簡易ポプリの完成!

それを鼻に近付けてその香りを確かめる。


「ん……まぁまぁ大丈夫かな?」


手作りポプリを片手に軽く握り、いそいそとサロンに戻る。


< 283 / 372 >

この作品をシェア

pagetop