幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜



「もうすぐ花火始まるね」


だけど手を洗っていたその時…

隣の洗い場に岡崎さんが立っていて。


目の前の鏡越しに目と目が合った。


「そうだね」


ハンカチを取り出し手を拭いていると、岡崎さんが何故か突然クスッと笑った。


「涼くんさぁー、積極的なんだよね、最近」

「…えっ」

「今日もずっと手繋いできたりして」


岡崎さんはそう言いながらまたクスッと笑う。


ノロケ?

何であたしにそんなこと話すの?


イライラしながらも平然と「ふーん」と
答えたあたしは。


「真鍋待ってるから先行くね」

と先に公衆トイレから出ようとした。



だけどーーー。


「だから今日あたりキスされちゃうっぽいんだよねー」


後ろから聞こえてきた声に歩き出していたあたしの足が止まった。



「…んなの…」

「え?何?」

「何であたしにそんなこと言うの⁉︎」


振り返りながらそう言ったあたしに、岡崎さんは一瞬驚いたような顔をしたけど。



「何怒ってんの、幼なじみに報告してあげただけじゃん」


聞いたこともないような低い声と見たこともないような鋭い目つきであたしを睨みつけた。


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