幼なじみ〜近くて遠い恋の距離〜
ダメ。
泣いちゃダメ。
あたしは悪くない。
何もしてない。
もうすぐ花火が始まる。
真鍋が待ってる。
行かなきゃ…早く行かなきゃ。
キュッと唇を噛み締め、潤んでいた目をティッシュで拭きすぐに捨てた。
大丈夫。
あたしは笑える。
真鍋がまた笑わせてくれるはずだから。
鏡の前で笑顔を作ると、あたしは足早にトイレをあとにした。
「ごめんね遅くなって、トイレすっごく混んでて」
「全然大丈夫!花火まであと一分くらいだからギリギリセーフ!」
「良かった…」
結構待たせたはずなのに、優しく微笑んでくれた真鍋。
その顔を見上げた瞬間、大きな音と共に空一面が明るく彩られた。
「おー!始まったじゃん!ナイスタイミング!」
またニッと笑った真鍋はあたしの手をギュッと握り、花火を見上げた。
力強く握られた手。
好きだと言われたあの日から二度目の出来事だった。