ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
あぁ、由良だ、なんて当たり前なことを思ってしまった。どれだけ間抜けなんだとも思ったが、そう思ってしまったものは仕方ない。



愛も変わらず黒い艶やかな髪の毛に、白く透き通った肌。

さくらんぼ色の健康的な唇。

"ガーネット"の証である紅色の大きな瞳。


優しく、そして凛とした雰囲気。



全てが、2年前のまま。


だけどやはり魔力が完全に回復したわけでないからか、2年前よりももっと、儚く見えた。

それでも懐かしくて、愛しくて、思わず抱きしめたくなる衝動を必死に抑え込む。


「あ、貴方様はもしかして…"サファイア"のご当主様でいらっしゃいますか…?」


不意に由良が尋ねるものだから、


「…はい」


一瞬言葉が詰まった。


あ、そうか。

さっき、あぁ由良だ、と思ったけれど、やっぱり由良じゃなかった。

俺の知っている由良ではないんだ。

俺を知っている由良ではないんだ。


絶望に心を支配されかけたとき、由良の異常を感じ取った。


よくよく見ると由良も由良で、"サファイア"の当主がいきなり現れ呆然としていることが表情から見て取れる。呆然というよりも、固まってる…?


あーだから、そういう無邪気な顔をしないでほしい。あまりにも可愛いすぎて、心臓が壊れそうだ。


暫くして突然ハッと意識を取り戻した由良。


おい…本当にこいつ、18歳か?

天然というか、無邪気すぎる…

まぁそういうところが由良らしいけど…
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