ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「ど、どうして、"サファイア"のご当主がこのようなところへ?うちの当主に用事があるのなら、今すぐにご案内しますが…」

「いえ、違います。今日は、貴方に…神崎由良さんに、会いにきました」


必死に感情を抑え込み、ポーカーフェースを作り上げる。

俺今思いっきり営業スマイルだな。気持ちが悪いと自分でも思う。


「え…?」


だよな。戸惑うよな。いきなりだもんな。アポなしもいいところだよな。


そう思っていたけれど、次の瞬間、

由良の瞳から、つう、と一筋の涙が頬を伝った。どんどん溢れて止まらない。


え、何で?どうしたんだ…?


俺も戸惑ったのだが、

「あれ…?なんで…」


本人も相当戸惑っているらしい。

それでも俺を困らせないようにと


「ご、ごめんなさい!何もないのですが…」

目にゴミでも入ったのかもしれません、なんて無理して笑っている。


由良は俺を困らせないように、と笑おうとしているけれど、

俺にとっては、由良のそんな無理して笑う顔を見ている方が、何倍も何十倍も辛い。


「ごめんなさい、もう大丈夫です。もうすぐ涙もと…」


涙を拭う由良が、あまりにも儚くて。


俺はついに自分の感情を抑えきれなかった。



俺と由良の距離




「え!?ちょ、柏木様!?」




……ゼロ。
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