ベジタブル
流石、ジークの弟子というべきか。レイとディランも、性格面がジークに似てきた。それにより様々な調味料を使い料理を作っていき、これは一種の人体実験というべきか悲惨な状況が繰り広げられていく。
「俺を殺す気か」
「いや、それはない」
「明らかに、料理の内容に殺意を感じる」
「それは、気のせいだ」
しかし、言葉と料理が一致することはない。現に目の前に出されているスープの色が、何だかおかしい。一体、どのような食材を用いればこのような色になるかという、どす黒い液体だった。
「これは、旬の野菜を長時間煮込んだ物だ。味付けは塩だけという、シンプルな一品に仕上がっている」
「誰が、作った」
「はい。俺です」
「今回は自信作なんだよな」
「勿論」
「おお、それは楽しみだ」
和気藹々と話している三人を他所に、ルイスが不満たっぷりの表情を浮かべている。今まで、弟子の二人に散々な目に遭わされてきた。それは身体に奥底まで染み付きトラウマになっており、その弟子の一人がグロテスクな料理を作った。勿論、ルイスは拒絶の意思を示す。
「嫌だ」
「飲め」
「身体を壊す」
「大丈夫」
「どうして、そう言い切れる」
「信頼だ」
「お前の口から“信頼”という言葉が出ても、逆の意味に捉えてしまう。その表情が特に……」
「見間違いだ」
「いや、見間違いでは……」
「気にするな」
腰に両手を当て、ジークは堂々とルイスに向かって言い放つ。その姿にレイとディランは両手を胸元で組むと、信頼している師匠に熱い眼差しを向けていく。其処まで、自分達のことを考えていたとは――この件で更に尊敬度が増していくが、同時にルイスの不幸が増えていった。