ベジタブル
「何かが発生したら、これを飲め」
「胃薬!?」
「吸血鬼専用だ」
「完全に人体実験だ」
「ルイス……これ以上の我儘は、受け入れられないよ。レイ、ディラン……いつもの用意だ」
『了解です』
ジークの言葉に続く形で、レイとディランが動く。レイがルイスの身体を羽交い絞めにして、ディランが強制的に彼の口を開く。そしてジークは徐にスープが入った器を手に取ると、口の中に流し込んでいく。
スープの量はさほど多くはないが、一気に大量に流し込まれると飲み込むことができず、噴き出すように吐き出してしまう。勿論、味は最悪なのでルイスの表情は青白く染まっていた。
「調味料が多いのか」
「大匙一杯です」
「それがいけない。小匙一杯だ。野菜の本来の甘味を使う場合は、極力調味料を控えないといけない」
「勉強になります」
「それと、時期によって野菜の甘味は違う」
ジークの熱の篭った指摘にレイはポケットから手帳を取り出すと、今の言葉をメモしていく。一方強制的に怪しい液体を口にさせられたルイスは、身体をピクピクと震わせていた。相当のダメージを受けた様子であったが、暫くした後に復活を果し、同時に大声で反論した。
「いいじゃないか」
「死ぬわ」
「生きている」
「お、お前……」
どうやらジークは料理を作っている時に本性が表面に表れるらしく、口許が緩んでいるが目が完全に笑っていない。それを見たルイスは口をつむぐと、オズオズト胃薬に手を伸ばす。
「水、いるか?」
「う、うん」
ルイスは胃薬が入った瓶を鷲掴みにすると瓶を上下に振り、大量の白い錠剤を掌に載せる。それを水と一緒に一気に胃袋の中に流し込むと、大きく息を吐き出す。この薬は即効性が高いわけではないので薬を飲んだ後も胸のむかつきと胃のもたれが続き、呻き声を発してしまう。