ベジタブル
それにより市場に出回る場合、値段が半端ではない。通常のジャガイモの五倍の値段が付き、高級野菜の代名詞となっている。そして、贈答品として多くの者に喜ばれている代物だ。
そのことをジークから聞かされているレイとディランは、早くクリストファーを見たいと思っている。それと同時に、ジークが暮らしていた村というのにも興味を抱きはじめていた。
「師匠が故郷へ帰るのは、珍しいですね」
「そうか?」
「はい。ルイスさんから、聞きました」
「……貴様」
「いいじゃないか」
「よくない!」
「何故、隠す」
「別にいいだろう」
ルイスの指摘に、ジークは口を紡いでしまう。別に隠しているという訳ではなく話す必要がなく、それに両親の話をしても面白くはない。また、話しても何ら得策もないので話さないのであったが、しかし話さなければ話さないほど弟子達の妄想は膨らんでいってしまう。
だが、それでもジークは話そうとはしない。要は「両親に会えばわかる」というもので、話して面白くないようにジークの両親は「普通そのもの」という言葉が似合う人物。案の定、レイとディランはジークの両親を目の前にした途端、期待が外れたことに溜息を付いていた。
それでもジークの両親は、息子が別の世界で働いていることに心配はしていた。息子の将来性を考えて人間の世界での店の出店に反対はしなかったが、内心は心配で仕方がない。できるものなら定期的に連絡を寄越して欲しいものだが、いかんせんジークはこのような面は疎い。
「大丈夫」
「心配だったぞ」
ジークの両親の第一声は、このようなもの。たとえ相手が吸血鬼という長寿の種族であろうと、子供を思う親心はどの種族も一緒。それを目の当たりにしたレイとディランは、失礼な妄想を抱いていたことに罪悪感を抱きはじめる。そしてこっそりと、真実を話し謝る。
そんな素直な態度にジークは、二人を怒り責めようとはしない。そもそも、両親の件に関して切っ掛けを生み出したのはルイスであって、彼等には何ら悪い部分はない。それにより両親に気付かれないように、ジークはルイスに無言に圧力を掛け二度と余計なことをしないように釘を刺す。