ベジタブル


「今日は、どうしたの?」

「クリストファーの収穫。ちょうど時期だと思ったけど……今年の生育状況は、どうなっているかな」

「今年は、豊作だ」

 父親の言葉にジークの口許が緩むが、隣で聞いていたルイスの表情は明らかに真っ青だった。そして弟子の二人は「豊作」という言葉に、妙にテンションが高い。三者三様の反応は別々だが〈クリストファー〉と言う名前のジャガイモを収穫する点では、利害は一致していた。

「よし、行こう」

「準備は、できているのか?」

「勿論、断ち切り鋏は持っているよ」

「そうか。それなら、安心だ」

 ジークの言葉に、両親は満足そうに頷く。やはり、クリストファーの収穫に必要な断ち切り鋏。レイとディランは互いに持っている鋏に視線を向けると、首を傾げしまう。真実を話していないので、いまいち断ち切り鋏の使い道に不明な点が多い。そして今のタイミングなら質問して大丈夫と判断した二人は、クリストファーの収穫に断ち切り鋏が必要な理由を尋ねた。

「それ? 葉を切るんだ」

「……葉、ですか」

「そう。これがないと、危ない」

「毒があるのですか!」

 ジークの説明に、過敏に反応を示す。毒を持っているジャガイモを食べて人体に影響がないのか気になるが、更に続けられた言葉に「毒」という要素を持っていないことを知る。しかし、だからといって葉を切るのは何故なのか――百聞は一見に如かずということで、二を収穫場所へ連れて行く。

 建物から出た瞬間、ディランが真っ先に口を開く。それは、ジークの両親の外見年齢について疑問を抱いていたから。だが、ジークの両親なのだから当然吸血鬼なので、外見と中身の年齢は一致しない。若々しい肉体は人間にとっては疑問の対象なので、年齢を尋ねた。

「確か、二人とも四百越えているかな?」

「えっ!」

「何だ、その反応は……」

 予想外の年齢に、ディランだけではなくレイも驚いてしまう。一方ルイスは、若々しいジークの両親の年齢に嘆く。何故ならルイスの両親の方が年上で、それに最近何処か中年の哀愁が漂うという。といって外見の面では、ジークの両親とルイスの両親は然程変わらない。

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