ベジタブル
「いい両親だと思うけど」
「お前の両親の方がいい」
「そうか?」
「絶対、お前の両親の方がいい」
目的地へ向かう間、彼等の間ではそのようなやり取りが繰り広げられていた。その二の後方を歩いているディランは、してはいけない質問をしてしまったと激しく後悔していたが、そのことを真剣に考えている暇はない。そう、クリストファーが生えている場所は意外に近いのだ。
そして――
レイとディランは、我が目を疑った。
◇◆◇◆◇◆
それは、どのように表現していいのか。確かに、目の前に生えているのは通常のジャガイモそのもの。太い茎に複数の葉っぱ。しかし、それが一斉にウネウネと怪しい動きをしている。
「し、師匠……」
「何だ」
「目の錯覚でしょうか」
「大丈夫。正常だ」
「で、ですが……」
衝撃的な光景に、レイとディランは涙を浮かべていた。まさか、あのように奇怪な動きを見せるジャガイモとは、想像――いや、普通はできない。そして一部のジャガイモが、威嚇行動を見せている。
「別名、クリストファー。本当の名前は、暴行芋だったかな。シリア·クリストファーという人物が、発見したらしい」
「ぼ、暴行って……」
ジークの言葉を聞いた瞬間、二人面から一気に血の気が引く。「暴行」という名前が付いているからには自分達に何かしらの影響が及ぶに違いないが、ジークはクリストファーの奇怪な一面を恐れる素振りはない。無表情でひとつのクリストファーの側へ向かうと、それを見下す。無論、相手は防衛本能のままで攻撃を仕掛けようとしたが、急に大人しくなった。
どうやらジークが発するどす黒いオーラに負けたのか、クリストファーは素直に地面から抜かれた。その時、更なる衝撃が走る。それは複数生っているジャガイモの全てが「青色」をしていた。それに微かに表面に存在している凹凸は、人間の顔に見えなくもない。まさに、化け物芋だった。