ベジタブル
「な、何故……顔が……」
「それが、これの特徴だから」
「き、気持ちが悪いです」
「味は、最高だ」
「で、ですが……」
全力で拒絶反応を見せるレイとディランに、ジークは渋い表情で顔を引き攣らせていた。弟子達を戦力として考えていたというのに、このように拒絶反応を示されると思っていなかったらしく完全に計画が狂った。しかし抜いたクリストファーと弟子達を交互に見詰めた後、ひとつの提案を持ち出す。
「――で、どうだ」
「いいのですか!?」
「ほ、本当ですか!?」
「ジーク! 俺もいいか」
「何でお前も」
「協力するんだから、見返りは欲しい。でなければ、好き好んで危険なジャガイモを収穫したくない」
「わかった。仕方がない」
渋々であったがジークはルイスの提案を受け入れると、その分だけのクリストファーを収穫するように命令する。ジークが提案した内容というのは「クリストファーの収穫を手伝ったら、フルコースを食べさせてあげる」というものであった。勿論、彼等が飛びつかないわけがない。
通常、五万近い金額を取るジークのフルコース。だが、この値段ながら多くの予約が集まり、それだけジークの料理が美味しくそれを無料で食べられるのだから三人は頑張ってしまう。
フルコースを目の前にぶら下げられたレイとディランは、意気揚々とクリストファーに近付く。そして徐に引き抜こうとした瞬間、彼等の防衛反応が働く。結果、思いっきり横殴りされてしまう。
「何の為に、断ち切り鋏を用意した」
「えっ! し、師匠は何故――」
「あいつは、特別だ」
「えっ!」
「真実は、知らない方がいい」
過去、何か恐ろしい体験をしたのかルイスは自身の胸の前で腕を組む何度も頷いている。更に額には微かに汗が滲み出ており、それが物語っているのは真の意味でジークが恐ろしいということ。その証拠に、暴行芋と名付けられているクリストファーが完全に服従していた。