ベジタブル
一方クリストファーは、弟子達のことを「ちょろい相手」と認識したようで近付いた瞬間、強烈な一撃を食らわせた。流石、野生の掟の中で生きている生き物。瞬時に、力関係を見極めた。
しかし、弟子達も負けてはいられない。フルコース八割、攻撃をされた仕返しニ割で収穫を開始していく。レイとディランは高々と断ち切り鋏を振り上げるとクリストファーの葉と茎を切っていくが、一点集中は予想外の出来事を発生させてしまう。何と、一斉に動き出した。
それは、仲間の危機を察したと表現した方がいいか。一斉に攻撃態勢を取ったクリストファーの姿は奇妙なもので、悪夢に悩まされそうな光景が目の前で繰り広げられていた。怪しい光景に油断したレイとディランに、連続した攻撃が食らわされる。刹那、彼等は後方へ飛んでしまう。
そして、不幸は連続して起こるもの。後方へ飛ばされたレイとディランは、身体を強く地面に打ち付けてしまう。更にレイが顔面を強打し、微量ならが鼻血を流していた。しかし流石ジークの弟子というべきか、このようなことで二人は挫けない。寧ろ、闘争心が増す。
「く、くそ……」
「ジャガイモの分際で」
「人間を馬鹿にするな!」
「全部、収穫してやる」
感情を爆発させた二人は、断ち切り鋏を握り直すとマルガリータに向かって突進していく。彼等は今、目の前にぶら下げられている「フルコース」という名前の人参によって動いていた。
「乗せるのが上手いな」
「何が?」
「弟子達だ」
「別に。フルコースを食べさせると、言っただけだよ。それに、作るのは面倒じゃないから」
「だけど……」
「それに、いい経験だよ」
特に罪悪感を持っていないのか、サラリと言ってのけた。勿論、ジーク弟子達を大切にしているのだが、これくらいの攻撃で死ぬことはないと結論を出しているのだろう生暖かく見守っている。
だが、全てを弟子任せにしているのではない。ジークは徐に料理を作る時に使用しているヘアバンドを取り出すと、前髪を掻き揚げるように装着する。そしてルイスに視線を向けると、仕事を開始することを告げた。それに対し無言で頷き返すと、ジークと共に戦場に向かった。