ベジタブル
「これで、いいでしょうか」
「うん。いい感じだ。よし、抜くぞ」
「二人は、耳を塞いだ方がいいよ」
「どうしてですか?」
「今、わかるよ」
ルイスの言葉に、レイとディランは素直に従う。訝しげな表情を浮かべていたが、マルガリータという奇怪なジャガイモを見た今、いちいち疑問を投げ掛けるのが面倒になったからだ。それにルイスがこのように言うのだから、絶対に危ない何かが待っているのは間違いない。
レイとディランは、耳を塞ぐ。
刹那、周囲に甲高い悲鳴が響き渡った。
「な、何?」
「耳が痛い」
耳を塞いでいたが、その音は確実に耳の中に届いていた。しかしレイとディランは奇怪な音以上に、ジャガイモが悲鳴を発した方に度肝を抜く。暴れ悲鳴を上げ、尚且つ顔が存在する。
完全に未知の生物といっていいクリストファーに、本当に食べられるかどうか不信感が募る。それに、何より見た目が宜しくない。これが高値で取引されるのだから、世の中にいる食通は侮れない。
「元気な声は、美味い証拠だ」
「そ、そうなのですか」
「特に暴れ興奮している中で抜くと、甘味が増す。だから、頑張って興奮状態の中で抜いていこう」
「わ、わかりました」
「ちょっと怖いですが……」
「これ以上の危険はないよ」
「それならいいのですが……」
「それに、抜いてしまえば大人しくなる」
「た、確かに」
「ピクリとも動きませんね」
「さあ、頑張ろう」
ジークは弟子達を餌にして、クリストファーを常時興奮状態にしておこうと考えいた。しかしジークが側に寄るとクリストファーは彼の放つどす黒いオーラに屈服し、大人しくなってしまう。それなら全てのクリストファーがおちょくっている弟子達を使い、興奮状態に置く。