ベジタブル


 彼等はそのことに全くといって気付いておらず、完璧に「フルコース」の魔力に魅せられ素直に動く。

「やるぞ!」

「はい」

「頑張ります」

「いい返事だね」

 その言葉と同時に、戦いを開始した。

 それは、一種の修羅場。

 だが、彼等は突進しクリストファーを収穫していった。




 チョキチョキと、葉と茎を切る音が響く。それに続いて響くのは、クリストファーの叫び声。レイとディランは何度かクリストファーの叫び声を聞いていると、ひとつのことに気付く。

 それは、それぞれのクリストファーが別々の叫び声を発しているということ。そのことに驚く二人だが、戦いの最中に気を抜いたら死を招く。それだけ、クリストファーの攻撃には威力があった。

「うわ!」

「レ、レイ!」

「だ、大丈夫だ」

「怯むな」

「おう!」

 二人は互いに声を掛け合い、励ましていく。そしてベシベシと腕を叩いてくる葉と茎を払い除けると、隙を狙い切っていった。流石、物覚えのいい二人。動きが遅いクリストファーは簡単に片付けることができたが、想像以上に元気なクリストファーにはかなり苦労している。

 クリストファーは、生きることに必死。しかしレイとディランも、ジークのフルコースを食べたいので必死。両者の白熱した戦いは長く続く。一応、流血は免れたが、大量の唾が飛ぶ。

「ぐは!」

「ディラン!」

「この野郎!」

 今度は、ディランが攻撃を食らってしまう。想像以上に太い茎がディランの横腹を払うように殴り、その瞬間ディランは唾液を飛ばしながら後方へ吹っ飛んでしまう。しかし寸前で踏み止まり、クリストファーを睨み付ける。その目は完全に血走っており、別人状態だった。
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